こんにちは、JGGのkei(jpn)です。
2024/1/15にあった、Senetの公開対談vol.1をテキストに書き起こしました。
Senetは日本人発のWeb3系ゲームプラットフォームでありながら、アドバイザーにApple創業者のスティーブウォズニアックが入っていたり、1日の新規ユーザー数が30万人いるなど、興味深い成長を見せるプロジェクトです。
※本記事は内容の言い回しを分かりやすくする・同じトピックをある程度まとめるなどの調整をしています。より正確な内容は元配信をご確認ください。
後編はこちら
https://japangamingguild.org/blog/2713/
元の音声配信はこちら
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Senet資料pdfはこちら
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世界最大のWeb3スキルゲームプラットフォーム「Senet」について
Senetとは、ゲームとブロックチェーンに特化したプラットフォームで、広告収益の一部をビットコインで還元するビジネスモデル。
2024年1月現在、600以上のゲームが公開中で、2024年中に1400ゲームまで増える予定。
Senet誕生秘話
Senetは4年前、スキルゲームを作ろうとインドで立ち上げたプロジェクト。
スキルゲームとは: 個人の技術で勝敗が左右されるゲーム(例:テトリスなど)
インド(バングラディシュ、パキスタン含む)は人口が20億人くらいいて、スキルゲーム成長率がもっとも高いエリア。
世界で一番お金をかけてスキルゲームをプレイする国はインドで、そこでインドのファンドやゲーム会社と組んで立ち上げた。しかし、人口が多いぶんユーザーは来るが、課金率が低かった。
そこでアメリカのWorldWinner、Skillz(Nasdaq上場企業)と提携。
※WorldWinner:世界で初めてスキルゲームをリリースした大手。これまでに3,400万人以上のユーザーが50億回以上ゲームをプレイし20億ドルの賞金が配布された。
当時、ゲーム業界内でのゲーム売買はあったが業界外では全然なかった。
一方、うちには毎日100本くらいオファーが来る。そこで良いゲームを安く買うことができた。
購入したゲームをP2Eゲームに改修して、提携先に販売する、という手法に切り替えた。
他にもコインベース、Supercell(クラッシュオブクランの提供元)のプラットフォームにゲームをリスティングしていた。
そうやって利益は出ていたが、予定収益よりは少ない状態だった。
e-Sportsやスキルゲームとなるとなかなか「お金を賭けてプレイしよう」という話にならない。一般的にはせいぜいカジノゲームくらいで、例えばFPSゲームでのP2Eは馴染みがない。
我々は世界中の有名なゲーム出版社ぜんぶとミーティングし、ビジネスモデルを説明した。
試行錯誤を重ねる中でたどり着いたのが「ゲーム内でポイントを付与したらプレイユーザーが増えた」という結果。
しかしゲームに挿入する広告収益モデルは「世界中で運営でき、世界中で使えるお金」でないとうまくいかない。
そこで支払い通貨をビットコインにしたところ収益が上がった。
それでも広告収益が大きく伸びたわけではない。広告収入では、普通にプレイしても1日1円稼げるくらいの世界。
いっぽうプレイヤーバトルやトーナメントにエントリーして勝てば稼ぎが500円になることもあり、この仕組みを導入したところ利用率が上がった。
そして、これらの結果をコンペで発表したところ非常に高評価だった。
現在の600以上のゲーム管理運営に関しては、テンプレ、マニュアル化、ルール化してやってる。
スキルゲーム構築は難しい
アメリカの大手ジェンガ社とミーティングした際、「スキルゲームはお金をかける人をいかに集めて長くプレイしてもらうか?そこが大変」という話が出た。
ユーザーの99%はお金を賭けないので、99%のユーザーを捨ててるようなもの。そこで「ランキング1位に賞金をあげる」としたら利用率が上がった。
ここからゲーム数を増やし、報酬として独自トークンを出すことにした。
僕はWeb3が嫌い
僕はメタバースにゲーム提供したくないって言ってる。(土地販売などの)コンセプトは「誰かが買わないと続かないビジネスモデル」だから、僕はそれがあんまり好きじゃない。
TheSandboxのCOOであるセバスチャンがうちのアドバイザーなので文句を言ったことがある。「上手くいくわけないじゃん」って。それでこのあいだ投資ファンドを断られたけど(笑)
Web3ゲームの課題
ゲーム市場は、ごく一部のゲームが儲かっている状態。長く運営するのも難しい。
現在はWeb3よりWeb2のほうがマーケットが大きく、「Web3ゲームで遊ぶユーザーは極めて少ない」というデータが顕著に出ている。
それでもWeb3は投資金が入るので、ユーザー数が少なくても会社は儲かる。しかし結局ババを掴まされるのはユーザー。
2023年10月のデータでは「Web3ゲームのうち73%は、アクティブユーザーが10人以下」という結果がある。
実際にWeb3ゲームを提供してても、時価総額90億円あるトークンを発行しているゲームなのに、アクティブユーザーが300人くらいだったりする。
いっぽうSenetは600ゲーム合計で月間アクティブユーザーが300万人くらいいる。
Senetが押さえるツボ
死んだゲームを買い取って利益を出せるようにするという、ゲームを投資商品のような扱いにした。
アメリカにゲームの投資銀行があるが、「死んだゲームに金出すやつなんかいない」と言われる。でも「Skillzにゲームが掲載されるのなら価値が出る」と説得した。
クロスワードみたいに長く遊べて、マッチパズルを暇つぶしにやるゲームのほうがシンプルに長く持つと思う。
(我々が)ゲームを作らなくても毎月何百タイトルとゲームは出ている。ゲームパブリッシャーは売れるゲームをずっと探してる。
TheSandbox創業者のセバスチャンも「ゲーム開発は大変だし、既存ゲームをスキルゲームとして復活させるというエコシステムがいい」と評価してSenetにJoinした経緯がある。
Senet、4つのパート
Senetを4つのパートで説明すると、
1つ目は600ゲームタイトルが出ていて、トーナメントで稼げること。エントリーにビットコインが必要だが、広告視聴で賄える。トーナメントで勝てば獲得報酬が増幅する。
2つ目は仮想通貨の流動性提供もできるGameFiの仕組み。ゲームプレイすると仮想通貨が貰えるため、それ自体が流動性となる。
またゲーム自体をOEMとしてプロジェクトや取引所に提供も可能。これは我々がこれまでやってきたこと。
3つ目はマーケットプレイス。ゲームをNFT化して売買でき、保有中のゲーム権利は不動産のように利回りが出る。スキルゲームは息が長い(例:テトリスなどのパズルゲーム)。
4つ目はアドネットワークによるマーケティング。Senetは広告費が原資になるので、仲介無しに広告媒体を扱った方が収益性が高い。
Senetの特長
Senetに登録するだけでアプリ内ウォレットが自動生成されるので、ユーザーはWeb3を意識する必要がない。
広告収入還元自体は大きくないが、トーナメントにフィーを払ってエントリーし勝つことで報酬を増やせる。これはe-Sportsに近い世界観なのでスポンサーもつけることができる。
報酬のビットコインは全世界共通インセンティブなので世界中からユーザーが集まる状態。ユーザーが集まることはお金が集まることとイコール。
ほかにもゲーム貸出先プロジェクトの独自トークンを追加リワードとして載せるなど、色んな報酬体系がカスタマイズできる。
Senetは広告収益の一部をユーザーに返すだけなので、あまり稼げない。だけどポイントサイトみたいに貯めたり、ゲームで勝つと賞金が貰えたり、といった仕組みで長く続けてもらえる。
Senetは1日30万人くらい新規ユーザーが流入している。1ゲームだと面白くなくても、600ゲームあるとすごい数のユーザー流入がある。
そしてゲームが当たらなくてもいい。ユーザーがトークン欲しさに長くプレイしてくれれば広告収益が増えるし、我々はトークンがお金と変えられるよう流動性を保っておけばいい。そうすれば価値を生み出せる。
メンバーがやっていたPlayZapというプロジェクトがあって時価総額90億円がついてるが、本当にトレードだけ。そして何かあったとき買い支えができないので価格は落ちるだけ。
Senetは毎日広告収益が入るので、これをトークンに流していく仕組み。
これから、この仕組みを色んなゲーム会社に利用料無料で貸し出すところ。収益はゲーム会社が持ち帰ってもらい、そのうち一部を我々のトークン流動性に充てる。
商品としてのゲーム
日本では普及してないけど、(世界では)投資商品やファンドとして見ている。海外ではゲームデータを分析して良かったら投資するというビジネスモデル。ゲームというより分析データを売ってる感じ。
「こういうゲームはこれくらいのアクティブユーザーが取れてこういう売上になる」というデータがあれば、キャラクターやストーリーを載せ替えてシリーズ化する、などの対応が可能。
個人単位では「ゲームを購入して改修して資産化する」ことが難しい。なのでこれらをブロックチェーン上でデータ化して売買できたら面白いと思っている。Unity社もゲームとブロックチェーンの繋ぎ込みを手伝ってくれているところ。
バイトダンス社も「Tiktokはあんまり収益ないからゲームコンテンツが欲しい」とずっと言っていた。
(今の時代は)ゲームコンテンツ自体が安くなって稼ぎづらい。ただ、安いゲームでも「遊ぶとビットコインが貰えます」と訴求すると暇な人が遊ぶ。
ポーカーやRMTがそうであるように、スキルゲームのビジネスモデルははるか昔から存在する。
ソリティア単体が年間200億稼ぐ世界もあるし、そんなに凄いゲームじゃなくても「賭けて遊ぶユーザー」は世界にたくさんいる。
日本や韓国は賭博ゲームが禁止されているので知名度はないけど、Skillzでは年間8億稼ぐ子もいる。
ゲームオーナー権のNFT化
ゲームの権利は売買されるのもある。300〜500万円で買って、それが10〜20年と利回りが入ったら面白いなと思って始めた。
オーナーを分散所有で募ってリスク分散し、所有権証明としてNFTにしようとした。
Web3のゲートウェイ
(仮想通貨出金のテスト導入をした際、)4ヶ月で27-30万人がウォレットから出金申請があった。
Senetの規模からしたらこれでも全然少ないけど、普通は30万人のアクティブユーザーにウォレットを開設させるのは極めて大変なこと。それがSenetのゲームを介せば、1日あたり10-20万のアカウント開設は余裕で可能。
以前OpenAIメンバーの立ち上げたプロジェクトにスキルゲームを提供したけど、大失敗していた。「どう考えても人集まらないよ」って言ったのに。(プラットフォームは)使われないと意味がない。
世界でもっとも投資効率がいいのは広告
Senetは広告予算をかけずにアクティブ300万人を保持できてる。ここから攻勢をかけたら月間アクティブ1000万人とか余裕で行く。
広告費用を投資してユーザーを集めたら、基本的に広告費(費用対効果?)は減っていく。でもSenetはデータを分析してきて、広告費用を投じたら100−200%回収できる。
通常は1ゲームあたりのマーケ費用を少なくしないと回収できなくなっていく。デカくするほど利回りが落ちる。
でも広告費用を200%で回せていたら、原資が減らずずっと増えていく。原資が減らずに集客ができるのがポイント。
閉会のあいさつ
今回は分かる人が分かれば良いというつもりで、「理解しようとしないと理解できない」よう、あえて耳だけで聴く場を設けた。
Senetは、600以上のゲームがブロックチェーンで繋がっている分散型プラットフォームと思って貰えばいい。
例えばアマゾンは1つのURLに集約した仕組みだが、SenetはSenetネットワークのなかで無数のゲーム用URLがある(つまりどこで遊ばれようとSenetエコシステムが潤う)。
日本国内外でゲームアンバサダーやインフルエンサーが周りにいたら推薦して欲しい。詳細は後日公開する。またゲーム自体にオーナー制度があり、Web3で言うノードのような形。次回お話しする。